『芸術の村』と呼ばれるウブドを始め、毎晩あちこちで公演が行なわれています。神々を歓迎し感謝を捧げる宗教的要素の強い奉納舞から、観賞用・娯楽用として発展を遂げたものなど上演内容は様々です。芸術性の高さ、華やかさ、舞踊の美しさから評価の高いレゴンダンス。
闇夜に響き渡る力強い掛け声に圧倒されるケチャダンス。善と悪、生と死、聖と邪の相対立する概念を舞踊によって表現したバロンダンス・・・伝統舞踊の迫力あふれる幻想的な舞には、誰もが目を奪われることでしょう。また、同じダンスでも舞踊団によってストーリーや演出が違うので、お気に入りのダンスが見つかったら色々な舞踊団で見比べてみるのもいいですね。 |
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バリ島の伝統的な舞踏、サンヒャンは、疫病が蔓延したときなどに、初潮前の童女を媒体にして祖先の霊を招き、加護と助言を求めるものでした。これに対して、現在のケチャは、『ラーマーヤナ』の物語を題材とする舞踏劇の様式で演じられています。こうしたケチャの「芸能化」がすすめられたのは、1920年代後半から1930年代にかけて、バリ人と共にバリ芸術を発展開花させたドイツ人画家、ヴァルター・シュピースの提案によるものでした。シュピースは、1920年代後半からウブド村の領主チョコルド・グデ・ラコー・スカワティに招かれてウブドに在住した画家・音楽家で、現地の芸術家と親交を結びながらケチャやバリ絵画などの「バリ芸術」を形作っていきました。ある著名なバリ人舞踏家がサンヒャン・ドゥダリの男声合唱にバリス舞踊の動きを組み込ませたのを見たシュピースは、ガムランの代わりにこの男声合唱のみを使って『ラーマーヤナ』のストーリーを組み込んだ観賞用の舞踊を考案するよう提案しました。 |
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